新日曜美術館 簡素にして品格あり 建築家吉村順三の仕事 

軽井沢の山荘 建坪16坪。「木の上で、鳥になったように暮らしたい」との思いで1962年に建築。1Fはコンクリートの柱状、機械室や水回りがあって玄関は南、2Fは居間、台所、寝室など。居間は10畳ほどだが壁には暖炉があって、2面のガラスで明るい事。この建物は基本が2尺-60cm-で一般の3尺に比べるとより密着した造りになっているとか。3F?の物見台は木の上までは出ていないが、のんびりできる。全体としてコンパクトだが、台所は十分な広さがある。一階のコンクリートの壁部分にも暖炉が儲けられている。また、コントラバスが置かれており、ここならまさに「星の牧場」の世界が眼前に浮かぶ。モダーンという言葉がよく似合うたてものだ。私にとっては大正から昭和初期そして戦後60年代くらいまでの電球色を思わせるイメージ、いい時代−思いこみですが。
 この方は中学生の時に既に小家屋の懸賞建築に入選しています。広いワンフロアーや二重ガラスをオフィスに使った最初の人。一方で住宅設計が好きであり、基本と考えていたそうです。それもできるだけコンパクトで居心地が良くて、しかもモダーンなもの。現在の無機質な感覚ではない、その時代での新しさ、今から見れば古めかく感じられるが、江戸時代から明治までとは違って何処か軽やかに感じられます。
 東山魁夷画伯の家の原型を設計したのもこの人です。東京芸大の同期だそうで、窓から一面の緑、白樺がいい間隔で立っているのが素晴らしい。高原にいるような気分になれる。こんな家に住みたいな。
 そこの空気、日の光、風、そこに続く道を見る。
 八が岳高原音楽堂もこの人の設計です。行ったことはないのですが、特徴ある大屋根で、音響効果も良いとのことです。自作の「折りたためる椅子」が使われていますが、これが左右の2つの木の枠と本体、10年も考えたもので軽くて座り心地の良いものだそうです。此のお陰で何処でも演奏ができる用になったという。芸大の教育でも最初に木の椅子を作る、楽な姿勢とは、それを支えるためには、それが建築の基本になっている。単純で使いやすいこと、それでいて美しく、新しいもの。
夜、新日曜美術館を録画しました。そろそろHDDが一杯になってきました。DVDに落として整理しないと行けません。使い方を調べないと。