街の灯 北村 薫

このシリーズは良いですね。舞台が昭和7年の東京都軽井沢、主人公を社長令嬢とすることで素晴らしい世界が描かれております。最もこれから成長してゆくと、現実のごみごみした部分が入ってきてこの透明?な世界が変わって来るのでしょうね。そうして最後は戦争につながるとなるとちょっと寂しいですが。是非とも続編ではベッキーさんの正体についても明かしていってもらいたいですね。
 ちなみに、私は宮澤賢治立原道造などの軽井沢などを舞台にしたいわゆる避暑地文学は大好きです。理想主義的で、人工的で、日本であって日本ではない世界、言ってみればファンタジーですね。ただ、そのある部分は本当にあった世界なので、あこがれがあります。そう言ったものだけでは人間の世界は成り立たないことは分かっていますし、そんな世界は息が詰まるというヒトも多いとは思います。しかし、自然と人間を含めて調和した世界というのは永遠のあこがれです。