さめない夢

「では、お前にとって最高のテーマ音楽とは」が書きたいのである。
 それはアニメ「赤毛のアン」(日本アニメーション1979年)のエンディング、「さめない夢」だ。
 高畑勲(演出)、宮崎駿(場面設計)、近藤喜文(キャラクターデザイン、作画監督)、富野喜幸(絵コンテ)などなどといった、信じがたいほどの豪華メンバーで制作された「赤毛のアン」だが、音楽もまた豪華だった。この番組のために三善晃が、渾身の力を込めて音楽を書いたのだ。あまりの力の入りように、桐朋学園大学学長も務める三善の時間が足りなくなったので、音楽の大部分は弟子の毛利蔵人が受け継いだ。
 三善、毛利共に、どの音楽も素晴らしいのだが、特に三善が作曲したオープニング「きこえるかしら」とエンディング「さめない夢」は別格だ。しかも「きこえるかしら」が、アニメーションとかみ合って初めて演奏効果が現れるように書かれているのに対して、動きのないスタッフのテロップで流れる「さめない夢」は、日本人作曲家によるオーケストラ伴奏歌曲という括りで見ても一二を争う傑作である。
 もしも「さめない夢」を聴くことができたなら、前奏と間奏、特に大きく盛り上がる間奏の部分をじっくりと聴き込んでみて欲しい。そこには、ほとんど完璧としか形容のしようがない対位法とオーケストレーションがある。無駄な音符は一つもないし、無駄に重ねられた音もない。にも関わらず音楽は軽やかに、高らかに、高揚する。
 2分ほどの短い曲だが、機会があったら是非聴いてもらいたい傑作だ。

http://smatsu.air-nifty.com/lbyd/2005/10/post_71cf.html
さすがは松浦さん、その通りです。知る人ぞ知るですね。放映されたときからなんて壮大な曲だろうと思っていました。そして、なぜあそこで終わってしまうのかと残念に思っています。これからもっと盛り上がるぞ、と構えたところで余韻を持たせています。完成すればベートーベンを超える交響曲になるのだろうと思わせます。
 そう言えば「ジャングル大帝」のオープニングの出だしも雄大ですね。この2曲が私にとっての元気の元かな。
 宮崎さんの手が入った映像も素晴らしかったです。なにより原作に忠実で録画したテープは「未来少年コナン」と並んで宝物の1つでした。ところが、引っ越しの際に間違って捨てられてしまいました。DVDを探そうかな。