歴史って難しい

井沢元彦さんの逆説の日本史9戦国野望編 ISBN:4094020098 を読み終わりました。
琉球王国の歴史については、きちんとした流れで見たのは初めてです。沖縄に旅行したときに首里城にいって説明文などで斜め読みした程度でした。学校教育では、その地域の歴史は一通り習うのですが、日本史になると地方はほとんど体系立って教わることはありません。また、日本史と世界史も独立したものなっていて、世界の各地域の相互関連や同時代性については理解ができにくくなっています。その地が置かれた位置を考えて様々な世界との関係を見てゆくと面白いです。貿易立国で成功することは大変ですね。現在でも武力を否定しきれないのが残念です。
 鉄砲伝来から和冦の話も部分的にはよく知っている内容ですが通してみるとなかなか筋が通っています。ただ、説明がくどくなることと、自分の考えを常識にして話してゆかざる得ないためについつい独善的になって行くのが気になります。
 実際の所、日本では算出しない硝煙にしても当時の船の来訪や載せていた資材の割合を考えると外国輸入だけであれだけの需要を支えきれなかったという説もあります。基本的なものの動きがどうだったかキチン押さえないと思いつきだけでは真実には達してゆかないと思います。
 また、設楽が原の合戦にしても日本には騎馬武者はいても騎馬隊は存在しなかったことを考えると3段打ちで勝負を決したのはおかしいという説もあります。義経の戦術的な戦い方は別として、日本では騎馬武者だけでの突進は多分なかったと考えられます。西部劇の影響でしょうかね。
 この本で、新説として馬が音に敏感で鉄砲の音におびえて敗走したのが原因だったとしていますが、この時始めて鉄砲が使われたわけでもないのでこれもおかしいですね。すでに各地で説法は使われており、荷駄に使う馬と違って騎乗するのであれば既にその音に対しても訓練はされていたはずだと思います。また、馬をそろえて突進するような戦法が取られたとも思えませんので、このような事態はなかったと思います。
 なんて、新書や何やらで生半可な知識をもっているだけで体系立っておりませんのでおかしいので終わってしまっています。体系だって調べて、その辺の真相らしき姿が見えてきたら新しい戦国ものがかけるのかもしれません。多分佐藤大輔さんもその意気込みで始めて、息が続かなくなったのでしょう。   (2005/05/14 14:03)