その時歴史は動いた 日露戦争100年 203高地総攻撃

この番組は再放送ですね。日露戦争と言えば、私の中でのリファレンスは司馬遼太郎の「坂の上の雲」です。あの中では乃木希典第3軍軍団長は融通が利かない、人命を尊重しない司令官の様に描かれていました。でも、今回の番組を見る限りは貧乏くじを引かされたという感じがしてなりません。彼は無茶なことをやろうとしていたのではないようです。ただ、結果として判断が間違っていたことは否めないようです。
 責任から言うと海軍や大本営の方が大きいように思います。せっかく旅順艦隊が壊滅したという情報を得ているのに疑心暗鬼になって無駄に何万もの死者を出してしまいました。あのとき裏をきちんと取っていればと思ってしまいます。そう言う点での反省があるはずだったのに結局日本海海戦で大勝利してしまったので、責任がうやむやにされてしまいました。乃木大将も勝手に名将に祭り上げられ、忸怩たるものがあるので責任追及ができませんでした。あのとき、信賞必罰で情報処理や責任体制を明確にしておけば太平洋戦争は大きく変わっていたことでしょうね。
 あの時点で、いくら犠牲が大きくても総攻撃をやらざるを得なかったのは分かります。旅順艦隊が生き残り、バルチック艦隊と挟み撃ちにされれば、日本が独立国家として生き残れなかったと思われす。その点はある程度指導者層で共有されていたと思います。だからこそあえてやったのだと思います。しかし、もう少しきちんと対応していればと思わざるを得ません。上り坂で生き残りをかける小国としての判断はそれだけ思いものでした。たとえ間違っても覚悟があったと思います。ところが、結果良ければでミスをうやむやにしてしまいました。それが、一応世界の大国になってしまうとなあなあ主義になって、いけいけどんどんで、ミスをしても上が責任を取らないと言うことを繰り返して結局、戦争にも経済でも負けてしまいました。信賞必罰は現在も徹底されていません。
 たまたまミスらない、あるいはうまく逃げ延びたそんな大人が、日本は偉大だ、頭を下げることはない、なんて偉そうなことを言っているのですから、ちゃんちゃらおかしいですね。そのころの日本帝国はぎりぎりの所で犠牲が大きくてもやらざるを得なくてやってしまったのと、安易な判断ミスでどんどん傷を広げるのとは違います。それでもミスをミスとしてただしてゆければ次につながるのでしょうが、その辺がうまくできないのはどうしてでしょう。
 自分も含めて頭では分かっているのですが、なあなあになりますね。集団としての和を重んじるあまり抑圧するか、自分に返ってくるのが怖くて追求が徹底しなかったりしてしまいがちです。反省するのはサルにもできるのですが、それからきちんとした対応ができる人間には慣れないようです。もっとも日本人の特性にするのも問題ですね。ブッシュさんの例もありますから。   (23:33)