鉄道の本

 最近我が職場に転勤してきたメンバーは鉄道マニアで、蒸気機関車を追って各地を回っているそうです。先日の大井川鉄道の土砂崩れには心を痛めています。私も鉄道ファンを自認はしているのですが、そこまではのめり込むことが出来ません。たまたま機会があれば、乗ってみようかというくらいです。SLは離れて見ている分にはいいのですが、実際に乗っていると煙の成分の細かな炭や灰が大変で、窓を開けるときは風向きを考えなければならず、トンネルにでも入ろうものならあわてて窓を閉めまくる必要があります。あの石炭の臭いもわずかであれば郷愁があっていいのですがね。
 ということで少し前に購入したのが、「JTBキャンプブックス鉄道11 全国軽便鉄道−失われたナローゲージ物語300選 岡本憲之」と「中公新書ラクレ94 ミニチュア庭園鉄道−欠伸鉄道弁天ヶ丘線の昼下がり 森 博嗣」。
 前者は、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」のモデルとなったといわれる「岩手軽便鉄道」や軽井沢と草津を結びいろいろな映画の高原列車のモデルになった「草軽電気鉄道」をはじめとするかつての「軽便鉄道」の写真と解説記事からなっています。「軽便鉄道」という用語にあこがれがあり、その実態が知りたくて購入しました。道路とバス蒙の発達そして自家用車の普及で消え去りましたが、地震も懸念される東京一極集中をさけ、省エネや環境保全を考えると復活してもいいのではと思います。そういえば、井上直久さんの「イバラード」では都市間をつなぐ線路のない高速鉄道ジーマ」と1-6人乗りの「市電」が交通機関となってます。市電とはいっても野原の国のあぜ道や川の土手を巡っている様子は「軽便鉄道」そのものです。イバラードのモデルとなった関西にも「阪堺鉄道」がありました。もっとも「市電」といえば大阪や京都にありましたし、個人的には「阪神国道線」にはお世話になりました。
 後者は、日本でも庭園鉄道を完成させている人がいるのに感心して購入しました。庭園鉄道といえば英国など広大な自宅がないと出来ないと思いこんでいましたが、大きさを工夫すれば可能なのですね。森さんが多趣味なこと、そして推理小説を書き出したのが、子供の頃から「いつか実現できる」と信じていたことが30代半ばになって「このペースでは実現のではないか?そのためには自分の得意な分野でアルバイトをして得た資金を有効に活用していいのでは」ということには呆気にとられました。私も空想はしましたが、まさかそれを地でいった人がいるなんて。本職として大学の助教授、サイドビジネスとして推理小説作家、そして実体は鉄道会社のオーナー。いいなー、でもそこまでの馬力はないな。